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かわなべ
ブログ管理人/公認会計士・税理士
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【有報の訂正】公認会計士資格者の誤表記で訂正報告案件!?

カワセミ

この記事は5分くらいで読めるよ~


少し前ですが、複数の大手監査法人における公認会計士の「誤表記」がニュースになりましたね。

今回は当該事案について整理していきたいと思います。

目次(各項目に飛べます)

公認会計士の「誤表記」って何?

上場会社が提出する有価証券報告書等の書類の中には、「コーポレート・ガバナンスの状況等」という会社の内部統制・企業統治の体制を記載するページがあります。

その中の小項目として「監査の状況」があり、下記の項目等が記載されます。

監査の状況
  • 監査法人の名称
  • 継続監査期間
  • 業務を執行した公認会計士
  • 監査業務に係る補助者の構成
  • 監査法人の選定方針と理由
  • 監査役及び監査役会による監査法人の評価

今回問題になったのが、赤字の「監査業務に係る補助者の構成」です。

そして、この項目には下記の文言が記載されます。

(例)当社の会計監査業務に係る補助者は、公認会計士15名、その他19名であります。

この人数の内訳が誤っていたのです!

かわなべ

上の例でいうと、例えば公認会計士資格がない3名が、誤って公認会計士として集計されていれば、正しくは公認会計士12名、その他22名が正規の記載になります。

「業務を執行した公認会計士」は、業務執行社員(パートナー)ですので監査報告書にサインする人を指します。

したがって、補助者として記載されるのは業務執行社員以外の人員(サインするパートナー以外全員)となり、資格者であれば「公認会計士」、無資格者(監査アシスタントやIT専門家)や公認会計士試験合格者(公認会計士協会準会員)であれば「その他」として集計されます。

今回発覚したのは、公認会計士でない(その他に集計すべき)人員であるにも関わらず、公認会計士として人数にカウントしてしまった事案が大手監査法人含め複数発生したということです。

上場会社を担当する全ての監査事務所(135事務所)に自主点検を要請

2022年7月、9月において複数の大手監査法人等で公認会計士登録がされていないにも関わらず、有価証券報告書等の書類に公認会計士として集計されている事例が確認されたと日本公認会計士協会より公表が行われました。

これを受けて上場会社を担当する全ての監査事務所(135事務所)に自主点検をし結果を協会まで報告させるようにしました。

自主点検の内容は下記です。

①直近期の有報等の法定書類・被監査会社への提出資料の誤記載の有無
②公認会計士でない者が名刺等で公認会計士と名乗っていないことを自己点検し協会に報告

18事務所で「誤表記」が発覚

この自主点検の結果、135事務所のうち18事務所から「誤表記」が検出されたとの報告があり、うち4事務所では、本人が誤表記を認識していたとのことです。

また、2事務所では公認会計士でない者が公認会計士を名乗っていた表記の名刺等の使用を確認したとのことです。

このような誤表記が生じた原因としては、公認会計士協会によると以下のように分析されたとしています。

誤表記の原因
  • 公認会計士の名称を使用することの重要性の意識の欠如
  • 法定書類の重要性の認識不足
  • 公認会計士登録者と非登録者が混在している職位があり、誤認を生じやすい状況の存在
  • 資格情報を確認する必要があることの周知不足
  • 監査事務所における管理体制の整備不足

誤表記していたらどうなる?

「被監査会社の有価証券報告書訂正に繋がるものであることから事態を深刻に受け止め、謝罪するとともに、当該監査事務所に対して再発防止策の作成と実行を要請し、協会に報告するよう、会則に基づく勧告を行ったことを明らかにした」

と日本公認会計士協会会長が声明を出していますので、有価証券報告書の訂正報告が必要になります。

クライアント側からすると

クライアント

私たちのせいじゃないのに~

となります。

かわなべ

監査の人数や資格者区分はクライアントは知り得ないので、
クライアントは監査法人から教えてもらった情報をそのまま有価証券報告書に記載することになります。
その情報が誤っていれば100%監査法人が悪いですよね。

現場を経験した人間からの意見

今回誤表記が発覚したのは、Big4と呼ばれる大手監査法人もです。

皆さんの中には、

大手監査法人なら人員を集計するシステムやソフトを導入しているのでは?

と思われるかもしれませんが

実際には全自動で人数を集計してくれるシステムやソフトなんてものはありません。

人数集計のやり方としては、そのクライアントごとのチャージ時間レポートをシステムから出力して、チャージした方を社員名簿などの人事マスタと照合して、資格者区分を入力してSUMIF関数などで集計していくやり方です。

そう!非常にアナログなのです。

特に今のようなリモートワークが普及した監査現場においては顔を合わせたことのないスタッフもいますし、アサインも頻繁に変わります。

1日ごとにアサインが変わるスタッフも多いです。

そのような状況でアナログの方法で集計するのですから、集計ミスは起こるべくして起こってしまいます。

管理人のときは、上記の集計を監査アシスタントが行い、その結果をインチャージ(自分)とマネージャーが確認した上でクライアントに人数を報告していました。
このあたりの明確なルールは確かに法人内で整備されていませんでした。

もし、今回のように公認会計士資格者の人数の誤表記が発生しても監査意見には何も影響はありません。

ですので、市場への影響もほとんどないでしょう。

しかし、問題なのは
有価証券報告書の訂正報告が必要な状況を監査法人が作ってしまっているということにあります。
クライアントは全く問題がなく、監査法人に100%の非がある状態です。

クライアントからすると、「教えてもらった情報をそのまま記載したのに訂正報告が必要になってしまった…」ということになるので、クライアントとの関係性は悪くなることになります。

監査は信頼関係が大切ですので、クライアントとの関係が悪化することはプラスには絶対に働かないですし、それが全国の複数の会計事務所で生じているということであれば、業界全体として早急に改善せねばなりません。

今後は公認会計士協会も注視していくと思われますし、監査法人内でもチェック体制のルールが明確化されることでしょう。

現場を経験した人間からすると、年々監査手続は厳格化されていますのでこのようなところまでチェックに回したくないというのが本音ではありますが、クライアントとの関係や監査法人としての威厳を守るためにも必要なステップですね。

今後再びニュースにならないように確実に業務をこなしていくしかないですね。

かわなべ

ここまでお読みいただきありがとうございました。
また明日もお楽しみに!
独立会計士ブログのかわなべでした!

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この記事を書いた人

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◆独立系税理士法人1年
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Vocaloid、カワセミを好む。
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河鍋公認会計士・税理士事務所を運営している。

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