【独立して分かった】監査は本当につまらない仕事なのか?
この記事は4分くらいで読めるよ~
監査ってつまらない仕事なの?
今日は監査法人から税理士法人、そして独立開業した立場として解説するね!
- 公認会計士試験に合格した方
- 大学4年生の方
- 大学の単位がヤバい方
そもそも監査って何?
ごめん。僕、監査が何か分からない。
説明するね。
監査というのは定められている法律が色々ありますが、分かりやすく解説するために上場会社を例に取ります。
上場会社に対して監査法人が行う監査は、『会計監査』と『内部統制監査』に分けられます。
会計監査は、その名の通り、会社が作成する財務諸表が正しいかを公認会計士がチェックをして適正性(合っているか)を保証する仕事です。
監査の結果、適正であると認められる場合、適正意見(ちゃんと合ってますよ!)という形で監査報告書を会社に提出するのが監査法人の役目です。
そして会社は、監査法人からお墨付きを貰った監査報告書と、監査済の財務諸表をセットに綴じ込んで誰でも見れるように開示するという仕組みが監査です。
今はインターネットで誰でも開示書類が見れます。
『内部統制監査』も上記と似たようなものです。
会社が作成する、内部統制報告書という書類に対して意見を表明して監査報告書にまとめます。
これはつまり、会社の中で整備されている内部統制(二重チェックやシステム統制)がきちんと機能しているかをチェックして、適正意見(ちゃんと機能していますよ!)という形で内部統制監査報告書を会社に提出します。
ここまで聞くと、公認会計士ってチェック屋なの?って思われるかもしれませんが
会計監査も内部統制監査も、ただ単にチェックするだけではなく
監査をやっていく中で発見された不備は、会社に指摘しなければなりません(指導機能)。
監査=『お墨付きを与える仕事』
というイメージが分かりやすいです。
なるほどね!
監査がつまらないと思われている理由
監査法人は毎年多くの人が入社しますが、同時に辞めていく人も多いです。
コンサル業界ほどではないと思いますが、人の入れ替わりが激しい組織なのです。
そして、辞めるのには原因というものが存在します。
そのうちの代表例が『監査がつまらない』です。
ちなみに管理人が監査法人を辞めたのは
激務の末に身体を壊したからで、監査がつまらないと感じたことはないです。
では、なぜ監査がつまらないと思われているのでしょうか?
その理由として挙げられる理由は、大体決まっています。それは
という理由が多く聞かれます。
ただチェックするだけで、何も生産していない
監査というのは、上述したように最終成果物は『監査報告書』です。
その監査報告書を提出するために、会社のビジネスを理解して、監査計画を立てて、リスクアプローチの監査を行います。
確かに
- 製造会社のように何か目に見える商品を作っているわけではありません。
- 営業職のように自分で契約を取ってきて、会社に貢献しているわけでもありません。
- 新しい発明や技術を身に着けてシステムを作り上げるわけでもありません。
こう考えると、監査法人は監査報告書というペラ紙1枚のために作業をしているということになります。
そこに生産性を見いだせず、監査がつまらないとなるのです。
監査報告書(ペラ紙)こそが大事
ですが、そうではありません。そのペラ紙1枚こそが大切なのです。
監査報告書は何も適正意見だけとは限りません。
状況によっては限定付き適正意見や意見不表明、不適正意見なんてこともあるでしょう。
意見内容によっては一瞬で世の中に広まり、最悪な状況としては上場廃止なんてことも考えられますので影響は甚大です。
たかがペラ紙1枚かと思うかもしれませんが、されどペラ紙です。
そこに書いてある『情報』のために監査を行っています。情報は価値です。
単調作業が多く、何年かすると飽きる
これもよく言われています。
監査は毎年行わないといけませんので、基本的に前期の作業結果(前期調書)があります。
前期調書をベースに当期にアップデートしていくので、極論ですが適当にやっていてもそれで通ることもあります。
やっていることも帳簿や経理資料のチェック、内部統制の妥当性の検証などになります。
特に内部統制の妥当性の検証は、印鑑が押されているかどうかなど単調なチェック内容もありますので
何年かすると飽きて監査がつまらないと思えてしまうのも頷けます。
前期と状況がまったく同じ会社は、世の中に1つたりとも存在しない
前期調書をなぞるだけで完成する監査調書も確かにありますが、よく検討しないといけない重要な調書もあります。
その結果、重要な会社の変化に気付かないようでは、監査人として職務を果たせていないことになります。
たとえば『監査上の重要性の基準値』や『スコーピング』という概念はとても重要で、毎年変化します。
それを確認せずに、前期の状況のままですべての調書が作られていくと…監査のやり直しになってしまいます。
『会社は生き物』です。日々変化するので、その変化を監査に反映していきましょう。
感謝されない
これは確かに、管理人も監査法人にいたとき思っていたことです。
監査というのは、誰のために行うかというと財務諸表の利用者のために行います。
財務諸表の利用者というのは、具体的に誰でしょうか?
それは、投資家や債権者(その会社にお金を貸している銀行など)です。
では、投資家や債権者は、監査法人からするとどのような人たちでしょうか?
え、監査法人からすると?
誰だろ?
ある意味、それが正解だよ。
誰か分からないんだ。
顔が見えない人たちのために監査をやっているんだよ。
すると、どうでしょう。
顔が見えないというのは会ったことのない人ということになります。
当然、繁忙期に夜遅くまで監査を突き詰めて監査をやったとしても感謝されません。
それどころか、オリンパスや東芝事件を思い返していただくと容易に分かりますが
問題が起こったときだけバッシングされます。
管理人も含めて感謝されることが仕事のやりがいという人も多いですので、この点は頷ける点はあります。
監査の仕組み上、仕方ないところはあります。
誰に感謝されるか
確かに顔の見えない人たちからは感謝されません。
ただ、誰からも感謝されないかというとそうではありません。
監査はチェックだけではありません。クライアントの経理や内部統制に関する質問に答えることも仕事です。
それに会計基準や税法は毎年のように変わっていきます。
その変化に対応するために検討したり、ディスカッションすることも監査法人の役目です。
また、少しでも会社の負担が少なくなるように監査で使っていない資料は依頼から外したり、サンプル数を許容可能なところまで減らしたりするだけでもクライアントは喜んでくれます。
意外なことに、感謝される相手は近くにいるんです。
まとめ
管理人は、元々監査がつまらないと思ったことはありませんでした。
転職して税理士法人に行ったときも、公認会計士が少なかったこともあり
監査チックなデュー・デリジェンスを管理人1人で行ったこともあります。
資料をいただいて、ヒアリングして、監査調書にリファを振って、会計基準に立ち返り検討していく…
そのプロセスは本当に面白かったですし、クライアントから感謝もされ、監査ってやっぱり楽しいんだなと思いました。
是非とも皆さんが監査法人を辞めるときは、『監査がつまらない』という理由ではなく、
ポジティブな理由であることを願っています。
その方が転職する際の面接などでも話しやすいです。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
また明日もお楽しみに!
独立会計士ブログのかわなべでした!
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